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グレンタラス 1 [ローランド]

エスク川を後にして、
川岸から続く急な丘を登って行くと
すぐさま高台にたどり着きました。
そこからは形容しがたいほど美しい、
丘の麓や川沿いの風景を見渡すことが出来ます。
高台を馬車で走って行くと、
折り重なる木々の葉の間に
グレンタラス蒸留所を垣間見ることができ、
遠くから見ると、
それはさながら絵のように美しい風景です。
遥かに下方にはタラス川が流れ、
谷に沿って黄色いつる草が群生しているようにも見えます。
高い尾根から
谷へと続く道へ降り、
左に折れて川沿いへとやってきました。
この美しい谷を支配するのは、
際立つ静けさで
聞こえてくるのは川のせせらぎと
水車の音だけです。
周囲を覆うのは豊かな緑で、
蒸溜所の塀まで深い雑木林が繁っています。
信じ難いことですが、
こんなにも静かな環境の中に、
活気溢れる工場が存在することに
蒸溜所の近くまで来て初めて気付かされます。
入り口の近くまで来ると、
御者が敷地の遠くの端に位置する
所長の邸宅を指差して教えてくれました。
二つの小川に挟まれた島の上に建てられた、
とても美しいコテージで、
蒸溜所からは完全に切り離されています。


グレンタラス蒸溜所は1839年に
スコットランド人のJ・ケネディ氏によって設立されました。
そして1872年に現在の会社の経営となりました。


美しいタラス川が敷地の前面を流れており、
蒸溜所の建物は全て、
タラス川の川床を構成する石や岩から造られています。
敷地には細長い建物が立ち並び、
一方の端はより細くなっています。
そして、敷地面積は
作業員の住宅と所長の邸宅と合わせて、
約4エーカー(1万6000平方メートル)あります。
最寄りの旅客駅はランガム駅で、
4マイル(約6.4キロメートル)遠方にありますが、
経営会社は1マイル(約1.6キロメートル)先に貨物の引き込み線を持っています。
蒸溜所で使われているのは玄武岩の上を滝となって流れ落ちる
ゴールサイク川の水で
蒸溜所背後の峡谷を通る導水管で
敷地内に引き込まれています。

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ランガム 2 [ローランド]

ランガム蒸留所(訳注)の事務所を訪れると、
所内には見学出来る穀物倉庫や制麦場がないことを
所長から告げられました。
なぜなら、モルトは全て
ハディントンシャー
著名な制麦業者、バーナード社が供給しているからというのです。
というわけで僕らはまず麦芽倉庫を訪れました。
綺麗に整備された石造りの建物で、
寸法は50フィート(約15.2メートル)四方、
敷地のほぼ中心部に位置していますが、
内部は薄暗く、麦芽倉庫という目的に適っています。


階下は粉砕室で、
モルトローラー1対と水力で駆動する機械部分を備えています。
次に僕らは糖化棟と蒸留棟が一体となった建物を訪れました。
古めかしい建物ですが、床は舗装されており、
全ての器材が揃っています。
この建物には2基の温水加熱タンクがあり、
各々の容量は1000ガロン(約4.54キロリットル)です。
マッシュタン(糖化槽)は直径13フィート(約3.9メートル)
深さ5フィート(約1.5メートル)で、
アンダーバックも同様の寸法となっています。
そして、棟内の蒸留部門の側には
ヘンダーソン・アンド・ターンブル社の冷却機があります。
戸口を抜けるとその先は醸造室で、
木製のウォッシュバック(醸造槽)が幾槽かと
容量8000ガロン(約36.3キロリットル)のウォッシュチャージャーがあります。


蒸留棟に戻ると、
3基の旧式ポットスティル(蒸留釜)を見学しました。
ウォッシュスティル(初留釜)の容量は1800ガロン(約8.18キロリットル)で、
2基のスピリットスティル(再留釜)の容量は
586ガロン(約2.66キロリットル)と316ガロン(約1.43キロリットル)です。
レシーバー室へ向かう途中、
小規模なクーパレッジ(制樽作業場)と樽倉庫の前を通過し、
川の上に突き出した岩場へやって来ました。
ここからは蒸留所の水を用いた設備の全景を見渡すことが出来る上、
木々に覆われた川の対岸や
ランガムの街の一部も眺めることが出来ます。
緑や茶色の様々な色合いが眼前に広がり、
絵描きならば大いに喜んで
この忘れ得ぬ景色を描いたことでしょう。
レヒーバー室には
ローワイン/フェインツレシーバー
スピリットレシーバー、そしてセーフがあります。
道の反対側はスピリットストア(樽詰室)で、
これも古めかしい建物ですが、容量998ガロン(約4.53キロリットル)のヴァットがあります。
キャンベル氏の後に続き、
20棟ある熟成庫の内の数棟を見学しました。
僕らの訪問時、1876年蒸留のものも含め
12万1300ガロン(約551.4キロリットル)のウイスキーを貯蔵していました。


3槽のワームタブが川の桟橋の上に設置されており、
水は巨大な水車によって汲み上げられています。
蒸留所の動力は全て水力で賄われており、
一枚岩を切り出した運河によって川の流れが敷地内に引き込まれています。
仕込み水は蒸留所から1.5マイル(約2.4キロメートル)ほどの場所にある
著名なウィタウェル・ヒルの泉の水を使用しています。

製造しているのは純粋なモルトウイスキーですが、
老齢の所長によると
年間一定量のバーチ・ウイスキーも生産しているそうで、
その作り方は所長の父親秘伝のものだということです。
モルトウィスキーはブレンド用で、
風味豊かで香りは穏やかです。
ウイスキー単体でも販売されており、
主にイングランドで消費されているということです。
年間生産量は4万6000ガロン(約209キロリットル)です。




訳注

こちらの本によりますと、
ランガム蒸留所は1917年に閉鎖され、
その後取り壊されています。


The Scottish Whisky Distilleries 2007: For the Whisky Enthusiast

The Scottish Whisky Distilleries 2007: For the Whisky Enthusiast

  • 作者: Misako Udo
  • 出版社/メーカー: Black and White Publishing
  • 発売日: 2006/10/31
  • メディア: ハードカバー




古地図リンク
langholm.jpg
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ランガム 1 [ローランド]

アナンを出発し、僕らはカーライル訳注1)へ向かいました。
次の数日間、カーライルの「クラウン・アンド・マイター」ホテルに宿泊し、
安価な料金で快適な時間を過ごすことが出来ました。


翌日僕らはランガムへと出発しました。
素晴らしい田園風景を通過し、
エスクデールに至る頃には
ただただ美しい光景となっていました。
道の両側でエスク川の河岸からそびえる丘は豊かな木々に覆われ、
高貴な川は迫り来る傾斜地の中を蛇行しています。
ランガムはスコットランドで
最も素晴らしい風景の中にある街です。
街の旧市街はエスク川の東岸にあり、
新市街は西岸にあります。


その昔、ランガムの街は
ブランクス」(訳注2)と呼ばれる鉄製器具を保有していることで有名でした。
これは口やかましい女性の頭部に取り付けるもので、
鋭い突起が口の中に入るので喋ることが出来なくなります。
ガミガミ怒る妻に悩まされる夫は、
器具を付けた妻に市中を歩かせました。
この伝統は宗教改革を物ともしなかったと言います。
僕らはまずラングホーム蒸留所へ向かいました。
さらに、数マイル先の次の目的地のグレンタラス蒸留所も訪れました。


僕らの道のりは川沿いの奥まった場所を行き、
上を見ても下を見ても道が曲がる度に
新たな興味深い風景を示してくれました。
ある時は岩と石の間を疾走していたかと思えば、
次は海に向かって着実に下り坂を進んでいました。


「谷はまるでエデンの園の天使のよう
 空は輝き、川の流れは柔らかい
その音楽は薫風に浮き上がり
正にその空気は眠た気に流れ
最高に美しい花々が谷を覆い尽くす」


蒸留所はエスク川に突き出した岩の上に建てられており、
どこから見ても絵のようにとても美しい景観となっています。
建物は堅固な石造りで、
幹線道路に面していますが
蒸留所の壁を洗う川にも接しています。
1765年の設立以降、幾つかの改装が行われていますが、
現世代が生まれる遥か以前から
ウイスキーが製造されていたことが容易に分かります。
現在の経営者、アーサー・コネル氏と彼の家族が
60年の長きに渡って蒸留所を所有してきた一方で、
所長のキャベル氏はそれ以上の長い期間蒸留所に関わってきました。



訳注1

カーライルって、
国境(?)近くの街だけどイングランドにあるんですね!
WDUKスコットランド編もあと少しで終わりです〜。
次はアイルランド編ですよ! 



訳注2

Wikipedia先生によると、
要するに拷問器具のようですよ!
おそろしあん!
魔女裁判にも用いられたようです。

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アナンデール 2 [ローランド]

アナンデール蒸留所訳注)直近の丘の上には、
ガードナー氏の居宅があります。
居宅と蒸留所の敷地は別になっており、蒸留所とは近い距離にあります。
蒸留所へと入所した僕らはまず、
大麦が貯蔵されている制麦場へ行きました。
さらに、階下にある2箇所の乾燥用フロアにも赴きましたが、
各々の端にはスティープが備えられていました。
建物は堅固な石で形作られています。


モルト(麦芽)はエレベーターで制麦場の端のキルン(乾燥塔)へと運搬されます。
キルンの床はワイヤーを編んだ網になっており、
ピートで加熱が行われます。
次に僕らは階段を上り、
隣の建物の最上階に至り、
一対のモルトローラーを擁するミルルーム(粉砕室)に入りました。
このフロアは
隣の建物にあるマッシュタン(糖化槽)の階層より5フィート(約1.5メートル)上にあり、
グリストロフト(粉砕麦芽置き場)の下に位置しています。
糖化部門へ至る途中に、
中庭に面した解放式加熱炉を持つ2基の温水加熱タンクを通過しました。
排出口、あるいは配管内の木製桶が、
粉砕されたモルトを円形の鉄製タンクで容量3千200ガロン(約14.5キロリットル)の
マッシュタンへと運搬します。
マッシュタンが位置する建物は広大で採光も明るく、
優れた構造になっています。
ワート(麦汁)はマッシュタンで漉し取られ、
液体はワートレシーバーへ汲み上げられます。


アンダーバックは通常通り建物の地面に位置しています。
蒸留所の建物は巨大で、丘の尾根に沿って3段のテラスを形成していますが、
全ては一つ屋根の下にあります。
最上段のテラスは、4槽ある新規に導入されたウォッシュバック(醸造槽)専用の空間になっており、
各容量は3千600ガロン(約16.3キロリットル)です。
その下のテラスには、優れたタンクで容量2千800ガロン(約12.7キロリットル)の
ウォッシュチャージャーと、各種レシーバーなどがあり、
最下段のフロアに古めかしいポット様式のスティル(蒸留釜)があります。


スティルハウス(蒸留棟)にはセーフがあり、
ランニングセーフはガラス製ケースに入っており、
視認できるようになっていますが、
税務官によって施錠されており、
特定の条件で検査を行うことができます。
スピリット(蒸留液)はこのセーフを通過してスティルハウスのレシーバーへ至り、
ポンプによってスピリットストア(樽詰室)のスピリットヴァットへ送られます。


僕らはスティルハウスの屋外に3槽の古めかしワームタブがあり、
スティルハウスに隣接して機関室があることを認めました。
機関室には最新鋭の小型12馬力エンジンがあり、
必要に応じて水力による動力供給を補っています。


蒸留所の反対側、小川の向こう側に2棟の保税倉庫があります。
製造しているウイスキーは純粋なモルトで、
年間生産量は2万8千ガロン(約127.2キロリットル)です。



訳注

Malt Whisky Yearbook 2017: The Facts, the People, the News, the Stories

Malt Whisky Yearbook 2017: The Facts, the People, the News, the Stories

  • 作者: Ingvar Ronde
  • 出版社/メーカー: MagDig Media Ltd
  • 発売日: 2016/10/13
  • メディア: ペーパーバック


こちらの本や公式サイトによりますと、
バーナードが訪問したアナンデール蒸留所は
1918年に閉鎖されてしまいましたが、
その後オートミールの製造会社が
オート麦の乾燥施設として使用していました。
よって、建物自体は残されていたので、
2007年に現オーナーによって再び蒸留所に生まれ変わりました!




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アナンデール 1 [ローランド]

ダンフリースで休憩し、
リフレッシュした僕らは
南方面への旅を再開し、
アナンデールの首都アナンに立ち寄りました。
ダンフリースからカーライルへ向かう幹線道路沿いにある勅許自治都市で、
僕らがローランドで見てきた中で最も美しく整った、
最も居心地の良い街です。


蒸留所がその名を冠するアナンデールとは
アナン川の流域のことです。
アナン川は皆からはよく「アナンデールのくわ」と呼ばれており
アナンデールは
スコットランドの中で最も庭園を彷彿とさせる地域と言われています。
柔らかで明るい風景の中で
木の葉の緑は贅沢に濃く重なり合い、
豊かな緑に覆われた放牧地は
谷の景観をイングランドに寄せています。
アナン川の水源はハートフェル山地にあり、
この谷を30マイル(約48.2メートル)に渡って流れ、
ソルウェイ湾へ注ぎます。
僕らは1マイル半(約2.4キロメートル)の距離をホテルから蒸留所まで馬車に乗りました。
美しい田舎道を通り、
私道の馬車道へと逸れてアナン・バーンに架かる橋を渡り
蒸留所へ至る門の前に到着しました。


アナンデール蒸留所は、アナンからは近距離にあり
木々に囲まれた絵のように美しい環境にある場所です。
敷地は正方形を成し中央部は小さな中庭となっています。
蒸留所へは、スライド式の門扉を経て入場します。
蒸留に用いる水は、アナンの街が所有する、
丘の上を流れるミドルビー川を水源としています。
しかし、水車などを回す水は
蒸留所近辺を勢いよく流れる小川からやってきます。


蒸留所は以前、税務官ジョージ・ドナルド氏の所有でした。
創立は1830年で、40年に渡り現地に在住していました。
1883年、リバープールのJ・S・ガードナー氏が土地の所有権を借り受け、
旧式な機械を含め建物全てを取り壊し、
新たな設備や蒸留に必要な最新の技術を投入し、
蒸留所を再構成しました。


ガードナー氏はリバープールの前市長の子息です。
父の死後、十分な資産とともに現地で抱えていた商売から引退していました。
人生を通して活動的な思考と飽くことのない産業への興味を持っていた彼は、
何か活動に従事したいと言う思いから、
蒸留所とワーマンビーの所有地が市場に出された時、
リース権を獲得し、適任な職務にも就いたのです。


僕らはこの小規模な蒸留所で楽しい午後を過ごしました。
ガードナー氏自身が僕らの案内人となり、
まずは蒸留所背後の丘の斜面の上方に位置する
農地を案内してくれました。
とても模範的な農場で、
牛小屋、豚小屋、馬小屋が正方形の中庭を囲んでいます。
僕らは20頭以上の素晴らしい牛が出荷を待つ様を見ました。
さらに、多数の豚もおり、
全て蒸留所から排出されるドラフや飼料を与えられています。
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ブラッドノック 2 [ローランド]

僕らはホテルから馬車に乗って1マイル(約1.6キロメートル)先の
郊外地にあるブラッドノックへ至りました。
ブラッドノック蒸留所訳注)は、名前の由来になっている村の入り口にあり、
と同時に美しいブラッドノック川の沿岸に位置しています。
蒸留所は中庭を囲い、正方形を成す建物群で構成されています。
1817年に現経営者の父親と伯父であるジョン・マクレランドとトーマス・マクレランドにより設立されました。
1878年に蒸留所は拡張・近代化され、
現在の敷地面積は2エーカー(約8千平方メートル)ですが、
経営者所有の農地50エーカー(約20万平方メートル)が隣接しています。
所内で使用する水は水車堰を水源としており、
ブラッドノック川の上流にあります。
上斜式水車が全ての蒸留所の動力を賄っています。


僕らはまずモルティングハウス(制麦棟)を見学しました。
主に石造りの建物で、
寸法は長さ118フィート(約35.9メートル)
幅28フィート(約8.5メートル)で、
スレート葺きの屋根を持ち、
木造部分は赤に塗装されています。
3階建てで、地上階は制麦場
上階は大麦貯蔵庫となっており、
各々石造りのスティープ(浸麦槽)を有しています。
この他に2棟の貯蔵庫があり、
寸法は95フィート(約28.9メートル)×32フィート(約9.7メートル)で
同様の構造になっています。
中庭の右隅と左隅にはキルン(乾燥塔)があり、
巻き上げ機を備えています。
床は多孔鉄板で、ピートによって加熱を行います。
中間にある建物の上階はモルト貯蔵庫になっており、
キルンと同じ階層です。
下階はミル(粉砕室)とグリストロフト(粉砕麦芽置き場)です。
敷地の四辺を成す建物に戻り、次に僕らはマッシュハウス(糖化棟)を訪れました。
採光の明るい建物で、
寸法は40フィート(約12.1メートル)四方、
2基の温水加熱タンクは容量が計5千700ガロン(約25.9キロリットル)、
マッシュタン(糖化槽)は直径16フィート(約4.8メートル)
深さは5フィート半(約1.67メートル)、
内部には攪拌器を備えています。
水路の階層に埋設されているのはアンダーバック
容量は3千ガロン(約13.6キロリットル)、
ワート(麦汁)を冷却するには優れた構造とされています。


中庭から数段上がり、僕らはバックハウス(醸造棟)に至りました。
ここには壁に沿って6槽のウォッシュバック(醸造槽)があり、
この内2槽は容量6千ガロン(約27.2キロリットル)で、
4槽は3千500ガロン(約15.9キロリットル)です。
さらにミラー社製冷却機の容量3千500ガロンのウォッシュチャージャーがあります。
ここへワートは遠心分離ポンプで汲み上げられます。
案内人に従い、僕らは次にスティルハウス(蒸留棟)に至りました。
蒸留所では最も古い部分で、3基の旧式なポットスティルがあり、
ウォッシュスティル(初留釜)の容量は1万3千ガロン(約59キロリットル)、
2基のローワインスティルの容量は各々400ガロン(約1.8キロリットル)です。
この後僕らはレシービングルームで
3槽のローワイン/フェインツレシーバー、
スピリットセーフ、容量400ガロン(約1.8キロリットル)のスピリットレシーバーを見学しました。
屋外には3槽のワームタブがあり、
ブラッドノック川の水で満たされています。
そこに隣接して、
容量530ガロン(約2.4キロリットル)のヴァットを有するスピリットストア(樽詰め室)、
税務官と蒸留所の事務室があります。
保税倉庫は4棟あり、
第二の中庭の周囲に位置しており、
計805樽、8万0705ガロン(約366.8キロリットル)を貯蔵中です。


ピート小屋は美しい建物で、
鉄柱に支えられスレート葺きの屋根を持っています。
主要な中庭には小規模なクーパレッジ(製樽作業場)と樽倉庫があります。


製造しているのは純粋なモルトで、年間生産量は5万1千ガロン(約キロリットル)です。





訳注
bladnoch_r.jpg
管理人は、昔の「花と動物シリーズ」の印象が残っていて、
ディアジオ所有だとばかり思っていたのですが、

Malt Whisky Yearbook 2017: The Facts, the People, the News, the Stories

Malt Whisky Yearbook 2017: The Facts, the People, the News, the Stories

  • 作者: Ingvar Ronde
  • 出版社/メーカー: MagDig Media Ltd
  • 発売日: 2016/10/13
  • メディア: ペーパーバック


こちらの本や公式サイトを参照して学んだのですが、
現在は単一蒸留所所有の小規模なオーナーシップなのですね!


2017年には創立200年を記念したボトルが発売されているようです!
素敵ですね!
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ブラッドノック 1 [ローランド]


長い時間を過ごした果てに
エディンバラを辞す時がやってきました。
再会を願い数杯を飲み干した僕らは、
長く楽しい時間を過ごした親切な友人たちとお別れをしました。
僕らは鉄道の駅で最後の挨拶を交わし、
馬車の後部の窓越しに友人たちが手を振り、
実りのある旅を祈ってくれました。


「さらばエディンバラ あなたが抱く美しいすべてのもの
 あなたが谷に抱く宮殿 空中の城郭
 岩山の頂上 草の茂る丘 そして露わな山々
 美しいものすべてを並べたてたら
 私の話は尽きることがない

 いざさらばエディンバラ 私たちの幸ある場所
 さらばエディンバラ カレドニアの女王
 日が昇るたびにエディンバラに繁榮あれ
 時の移ろいが止むまでエデインバラに祝福あれ」

 「コーラー・ヘリング(新鮮なニシン)」の作詞者

 
「近代のアテネ」を後にし、
僕らの楽しい旅も終わりが近いと思うと
とても名残惜しい気持ちになりました。
数日後には(南部の4箇所の蒸留所を訪問したら)、
美しいスコットランドを後にして
興味の薄い場所を旅しなくてはなりません。


旅の思い出に耽るには馬車はあまりに混み合っており、
人の間に人がぴったりとはまって隙間がありませんでした。
乗客は13人のクリスチャンで、
定員は8人でしたが、
幸いなことに皆ユーモアのある旅仲間で
この居心地の悪さは3、4駅の間しか続きませんでした。
僕らの旅路は想像し得る通りとても変化に富んでおり
牧歌的風景もあれば荒野もあり、
ダンフリースやその何マイルも先では
ローランドの贅沢な美しさとハイランドの雄大さが入り混じっていました。
その後、風景はより荒々しく寂しいものになります。
今まで見たことのないような茫漠たる荒野が広がり、
その風景を乱すのはところどころに姿を見せる岩や巨石だけです。
ウィグタウンに着いたのは夜で、
10時間の長旅に疲れた僕らにとって、
ホテルで休めることがありがたかったです。
このリフレッシュは僕らの身体が必要としていたものでした。


翌朝、旅立つ前に僕らは街を散策しました。
鉄道と海沿いの美しい街で
高貴な場所です。
ウィグタウンはとても美しく整備されており、
素晴らしい中心広場には花が植えられ、
テニスコートと散歩道があります。
変なことを言うようですが、
スコットランドでも珍しい、この自治都市を象徴する美しい広場は
以前は街のごみ捨て場だったそうです。

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グレン・キンチー 3 [ローランド]

モルティングフロアにも同様に頭上にレールが渡してあり、
発芽後はモルトと名を変えた大麦の運搬に使用されています。
エレベーターへと運ばれたモルトはそこから
巨大なキルン(乾燥塔)の中央部のワイヤーを編んだ床へと空けられ、
適切に乾燥が施されると
階下に位置するモルトデポジット(麦芽貯蔵室)へ落とし込まれます。
貯蔵室の端には同じ階層にグラインディングルーム(粉砕室)があり、
糖化の工程の前に必要に応じてモルトを粉砕することが出来ますが、
モルトはこの時点で専門的にはグリストと呼ばれるようになります。


マッシュハウス(糖化棟)はグラインディングルームと隣接しており、
粉砕されたモルトはエレベーターによりグリストホッパーへと運搬されます。
このエレベーターは、グラインディングルームに位置するエンジンを動力としています。
ホッパーからグリストは直下の巨大なマッシュタン(糖化槽)へと落とし込まれ、
専用のエンジンを動力とするレーキによって攪拌されます。
定められた時間が経過すると、浸出液は排水され、
並行した位置にある冷却機を経てアンダーバックに至り、
そこから強力な蒸気ポンプによってタンルーム(醸造棟)の発酵桶へと汲み上げれ、
発酵の工程が開始されます。
発酵が完了すると、この時点からウォッシュ(もろみ)と呼ばれるようになった液体は
同室に位置するウォッシュチャージャーへと張り込まれます。
ここから2基ある古いポットスティルとして知られる形式の蒸留釜へもろみが供給され、
蒸留によってもろみはウイスキーへと変化し、
工程は完成されます。
この時点で僕らは今まで見たことのないものを目撃します。
スピリットを抽出した後にはドレッグと呼ばれる大量の残留物が出ます。
これは街中では牛の飼料として大量に流通しているものの、
遠隔地では実際には使用する用途がなく、
何らかの方法で廃棄する必要が生じます。
川の沿岸権者の利益に反するので川に排水することは出来ないため、
蒸気ポンプで蒸留所から500ヤード(約457メートル)離れ、
70フィート(約21.3メートル)上方の場所にあるタンクに汲み上げられ、
近隣の農家が農地の灌漑に利用しており、
大いに喜ばれています。


僕らの記述から、各製造部門は一方が他方に収まる形になっており、
人力労働が最低限に留まるように配置されています。
僕らは全ての設備を見学する機会を得ましたが
一般的に設計が素晴らしいのに加えて
絶対的に清潔が保たれている点に感銘を受けました。


当蒸留所の年間生産量は約7万6千ガロン(約345.5キロリットル)で、
高品質なモルトウイスキーを製造しています。


僕らの見学が完了した頃には夕闇が迫り、
帰り道の周辺の景色は何も見ることが出来ませんでした。
帰途はダルキース経由で内陸部を通りました。
激しい雪嵐に襲われましたが、
僕らは居心地の良い馬車の中にいたので、
楽しい一時を趣のあるものにしてくれました。
ロジアンのハイランドのシャンパンのような空気を吸った僕らは
その晩気持ちよく眠りに落ち、
楽しい1日を結ぶことになりました。


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グレン・キンチー 2 [ローランド]

タイン川の支流が流れ、蒸留所がその名を冠する
キンチーの谷の中心地にグレンキンチー蒸留所は位置しています。
スコットランド北部で僕たちが見てきたような
野生的でロマンチックな景色ではありませんが、
独自の静謐な美しさを湛えています。

glenkinchie.jpg

蒸留所の真南はラマームアの丘で、
最高地点は2000フィート(約609メートル)に及びます。
丘の麓からフォース湾に向かって扇状地が広がり、
この地域で収穫された大麦のみが蒸留所に供給されてます。
蒸留所の両側はまばらに木々に覆われ、
地面にはわずかに雪が散っており、
荒涼とした景色が持ち合わせない優雅さを演出していました。


蒸留所が置かれている自然の状況を
経営者たちは十分に活かしています。
入り口ゲートの左側には、2棟ある巨大な保税倉庫の1つがあり、
もう1棟はゲートの右手に位置しています。
保税倉庫の裏手から敷地の端まで伸びているのはバーレーロフトで、
蒸留所の位置する丘の麓にあり、
ウイスキー製造に用いる大麦が貯蔵されています。
丘の頂上には2基の巨大なホッパーがあり、
ここへ荷馬車から大麦が投入され、
100フィート(約30.4メートル)のシュートを伝って
バーレーロフトへ至ります。
シュート上には梁が渡され、レールが敷設されています。
車輪で宙吊りにされたバスケットが走り、
大麦を目的の場所まで運搬することが出来ます。
このレールは、巨大な二階建ての建物で、
バーレーロフトとは幅の広い中庭で隔てられているモルティングハウス(制麦棟)まで伸びています。
バーレーロフトとモルティングハウスは吊り橋で繋がっており、
両端は面が傾いています。
バーレーロフトで大麦で満たされた運搬箱は、
中庭上を横断して直接スティープへ至り、
中身を空にすると反対側へ戻り、
また工程が繰り返されます。

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グレン・キンチー 1 [ローランド]

エディンバラのバルモラルホテルを出発し、
この蒸留所へ向かった僕らは
「1月の寒風」の洗礼を受けました。
僕らは「近代のアテネ」(訳注)を、
異なる季節や天候など色々な局面から見る機会を得ましたが、
やはり一番好きなのは夏だと白状しておきます。
その一方で、外見が氷と雪に覆われた様は
王国内の他のどの街よりも美しいことは確かです。
しかし、冬の風を忘れることはできません。
強烈な北東の風が大きな谷に吹き付けて
道を曲がる度に強襲されるというのは
あまり心地の良い記憶ではありません。


蒸留所の主席共同経営者ハナン氏、
絵描きの友人ゴードン・フレーザー君、そして筆者という
種々雑多な3人組で旅をしました。
僕らは居心地の良い馬車に乗り込みました。
リージェント通りを進み、
左手にカールトンヒルが過ぎて行き、
右手にホリールード宮殿アーサーの玉座が過ぎて行きました。
歴史的な遺構が溢れる景色と高まる期待感が混交し、
馬車の旅を楽しいものにしていました。


僕らはピアズヒル、又の名をジョックス・ロッジという、
スコットランド最高位の騎兵隊基地や
スコットランドのブライトンと呼ばれるポートベロ
そして地元民がスコットランドで最も古いバラ(自治都市)と呼ぶ、
マッセルバラなどを通過しました。


「マッセルバラはエディンバラが存在しない頃からバラであった
 そしてマッセルバラはエディンバラがなくなってもバラである」


マッセルバラを後にすると、
右手にはピンキーの古戦場(訳注2)、
左手にはエディンバラのゴルファーが集うリンクス訳注3)、
そしてスコットランド競馬の本部が見えてきます。
さらに先に行くとトラネントに到着しますが、
その左手はジョン・コープ卿ボニー・プリンス・チャーリーが戦った古戦場プレストンパス訳注4)があります。
この戦いで危うく英国の歴史の流れが変わるところでした。
これまで僕らの道のりはフォース湾を周回するものでしたが、
ここで僕らは右に折れイースト・ロジアンの内陸部に入りました。
スコットランドの農業の園と呼ばれる地域で、
ウィントン城と愛国者フレッチャー(訳注5)の子孫が住むソルトン・ヒルなどが過ぎて行きます。
フレッチャーは「私に国の歌を作らせてくれ。法律は他の奴が作ればいい」という言葉を残したことで有名です。
タインの谷に横たわる美しいペンケイトランド村を抜け、
僕らは蒸留所を見下ろす丘の頂上に至りました。
蒸留所は深く谷の中に抱かれており、
発見した時は通り過ぎる寸前でした。





訳注1

Wikipedia先生によると、
「近代のアテネ」というのはエディンバラのあだ名だそうです!




訳注2

Wikipedia先生によりますと、
「ピンキーの戦い」とは1547に発生した、
スコットランド軍とイングランド軍の戦いだそうですよ!
スコットランドとフランスの同盟を破りたいイングランドは
幼いメアリー女王エドワード6世の婚姻と
イングランド国教会による宗教改革をスコットランドに迫り、
結果として勃発したのがピンキーの戦いでした。
イングランド軍の大将は
護国卿サマセット公。
対するスコットランド軍を率いるのは
アラン伯。
ローランドの槍兵、ハイランドの弓兵など
スコットランド軍は勇敢に戦いますが、
上回る軍勢と
フォース湾に展開されたイングランド軍艦の前にあえなく敗北。





訳注3

Wikipedia先生によりますと、
19世紀には全英オープンを開催する
ローテーションに入る名門コースだったそうですが、
今は違うみたい。
ショボーン(´・ω・`)

ちなみに、現在の公式ルール上のグリーンのカップのサイズは、
こちらのコースで切っていた穴のサイズが基準になっているそうです!




訳注4

Wikipedia先生によりますと、
「プレストンパスの戦い」は1745年のジャコバイト蜂起における主要な戦闘の一つで、
ここでチャーリーはジョン・コープ卿率いる政府軍を破るんですが、
その後カローデンの戦いで惨敗しちゃうので
ショボーン(´・ω・`)・・・って話ですね。





訳注5

アンドリュー・フレッチャーさん(1653ー1716)

18世紀初頭、合同法が発効してスコットランドがイングランドに併合された頃のスコットランドの人。

14歳で英語・フランス語・ラテン語・ギリシャ語に堪能だったという語学の才能の持ち主で、法律家の家系に生まれ、若い頃からスコットランド議会で活躍。農業技術の研究・改良にも熱心。一方喧嘩っ早い性格で、政敵と決闘しちゃったり、国外追放になってヨーロッパで傭兵になってみたりと頭の中が筋肉質な側面も。でも合同法に反対したスコットランドを愛するおじさん。
いろいろな肩書きがあり過ぎて、一言で説明しにくいので、バーナードがそう書いたように単に「愛国者」と呼ばれることが多いようです。


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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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